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レポート

【開催報告】シンポジウム「パブリックヘルス(公衆衛生)の現代的課題を考える」(2025年7月1日開催)

2025年7月1日にシンポジウム「パブリックヘルスの現代的課題を考える」が慶應義塾大学三田キャンパスで開催されました。産業界・官公庁・学術機関・民間団体など多様なセクターから90名を超える方にご参加いただき、分野を超えて議論が交わされました。

冒頭、X Dignityセンターに設置された研究ユニットについて、慶應義塾大学大学院法務研究科の山本龍彦教授(X Dignityセンター共同代表)から「アテンション・エコノミーと『情報的健康』」について、慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュートの南谷健太共同研究員(UCLA School of Medicine/弁護士)から「プラネタリーヘルスと人権」について、それぞれ紹介がありました。

「アテンション・エコノミーと情報的健康」プロジェクト紹介の様子

「プラネタリーヘルスと人権」プロジェクト紹介 の様子

その後、2つのクロストークが行われ、パブリックヘルス(公衆衛生)の現代的な課題から、①情報的健康と心身の健康とのつながり、②プラネタリーヘルスの2つのテーマについて議論が展開されました。

クロストーク part 1では、モデレーターを山本教授が務め、パネリストとして、水谷 瑛嗣郎(慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所 准教授)、今西 洋介(UCLA School of Medicine/小児科医・公衆衛生学博士)、西 久美子 (総務省 情報流通行政局情報流通振興課 情報活用支援室長)、南谷 健太(慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート 共同研究員/UCLA School of Medicine/弁護士)にご登壇いただきました。

情報による健康の影響のうち、特にSNS利用が子どものメンタルヘルスに及ぼす影響を主要テーマとして、関連する研究成果や国内外での規制・法的紛争などが紹介されるとともに、適切な規制の在り方について、異なる専門性を持つパネリストの間で多角的な議論が交わされました。さらに、国民の情報リテラシー向上という観点から、政府の施策やその枠組みの中での健康リスクの位置付け、エビデンスとナラティブ(主観に訴える物語性)の適切なバランスの図り方などについても議論が展開されました。

クロストーク part1「情報的健康と心身の健康とのつながり」の様子

また、クロストーク part 2では、モデレーターを南谷先生が務め、パネリストとして、菅原 丈二 (日本医療政策機構 副事務局長)、平竹 雅人 (一般財団法人 竹田健康財団 理事)、井筒 将斗 (厚生労働省 大臣官房国際課 国際保健管理官)、鹿嶋 小緒里 (広島大学 IDEC国際連携機構プラネタリーヘルス・イノベーションサイエンスセンター センター長/准教授)にご登壇いただきました。

地球環境と人間の健康は切り離せないものと捉える「プラネタリーヘルス」の概要を紹介した後、医療政策シンクタンク、行政関係者、公衆衛生専門家、医療機関関係者という多様な立場のパネリストから、それぞれの組織におけるプラネタリーヘルスに関する取組みをご紹介いただきました。続いて、モデレーターとパネリストとの間における対話を通じて、各ステークホルダーに求められる姿勢や役割などについて活発な議論が展開されました。このクロストークを通じ、プラネタリーヘルスという新しい概念の意義や課題が参加者間で共有され、今後の領域横断的な連携を深化させることの重要性が明らかになりました。

クロストーク part2「プラネタリーヘルス」の様子

最後に、読売新聞グループ本社の山口寿一社長(慶應義塾大学X Dignityセンター・アドバイザリーボード議長)に閉会の挨拶をしていただきました。

閉会挨拶の様子

(撮影  岸 剛史)